臨床検査とは?
「正しく 速く 誠実に」
臨床検査とは、医師が病気を診断し治療していくための補助的役割があり、大きく分けて検体検査と生理機能検査の2種類に分けられます。
検体検査は、患者さんから血液、尿、便などの検体(材料)を採取し、それらを化学的あるいは形態学的に検査するものです。 生理機能検査は、患者さんの心臓や脳などの動きを電気的にとらえて波形として表し、身体の内部の状態を観察する検査です。
臨床検査は病気の診断だけでなく、治療方針の決定に大きな手助けとなります。また、治療経過の確認や重症度の判定、回復の度合いなどにも利用されています。
スタッフ紹介
臨床検査技師 15名(他アルバイト1名、採血受付案内1名)
業務内容(対応検査項目)
1. 外来採血室
採血業務
各診療科から依頼された検査に応じて、採血管準備装置を用い自動的に選別し、採血量も最小にとどめるようにシステム化されています。
熟練した臨床検査技師が安全でスムーズな採血に努めています。
- 採血後、5分間は圧迫して止血して下さい。
特にワーファリンやアスピリン等の血液をサラサラにする薬を服用されている方は5分以上お願いします。 - 採血は、細心の注意を払い実施していますが、まれに痛みやしびれ、腫れが生じる場合がありますが、多くは自然に治ります。
- アルコール過敏の方は採血前にお知らせ下さい。アルコールを含まない消毒薬を使用します。
2. 中央検査室(検体検査)
生化学項目
血液や尿に含まれている様々な成分を、化学的に分析するのが生化学検査です。
肝機能・脂質・糖尿病・腎機能・膵機能などの検査を行い、各臓器の状態を調べます。
- 肝機能検査
- 総蛋白、アルブミン、A/G比、AST、ALT、LD、ALP、γ-GTなど
- 代謝機能検査
- 中性脂肪、総コレステロール、HDL/LDLコレステロール、血清鉄など
- 糖尿病検査
- 血糖やヘモグロビンA1cなど
- 腎機能検査
- BUN、クレアチニン、尿酸、ナトリウム、カリウム、クロールなど
- 膵機能検査
- アミラーゼなど
免疫血清項目〔感染症検査、腫瘍マーカー、ホルモン関連〕
免疫反応を測定原理とした検査を行います。自動測定装置を導入し、精度向上や迅速報告に貢献しています。
- 各種感染症(HBV・HCV・HIV)の有無や経過の判断
- 腫瘍マーカー(悪性腫瘍などで増殖する蛋白)
悪性腫瘍の早期発見や再発の有無の判断・治療効果の判定 - 血中ホルモン(甲状腺・BNP)検査
機能異常や重症度の判定
血液・凝固検査〔血液算定、末梢血・骨髄液像鏡検、凝固検査、出血時間〕
採血された血液の一般的な検査(赤血球、白血球などの算定)を行い、貧血や炎症の有無を調べます。また、顕微鏡を用いた形態学的検査(骨髄内の細胞分類や分布、異常細胞の有無を調べることもあります)を行い、白血病など血液疾患の診断に重要な役割となります。
その他にも、血液の凝固異常に対する検査を実施しています。
輸血関連検査〔血液型、不規則性抗体、交差適合試験、自己血貯血の補助〕
院内における輸血療法が安全に行えるように、血液型検査をはじめとする輸血関連検査および、輸血用血液製剤の適正な保管・管理を行っています。
また、予定手術を受けられる患者さんには、自分の血液を貯め、必要時にお戻しする貯血式自己血輸血の補助も実施しています。
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)/インフルエンザウイルス PCR検査
唾液や擦過物など病原体が存在すると考えられる検体を採取し、特殊な装置を用いて微量な病原体のDNAを増幅する検査です。
当院では新型コロナウイルス発生当初よりPCR検査装置を導入し地域医療に貢献して参りました。
また、感染状況によりインフルエンザの診断にも利用しています。
外部委託検査〔血液検査の一部、細菌検査〕
特殊な項目や特別な機器を使用しなければならない検査は外部委託検査に出していますので、結果が出るまでに少し日数がかかります。
3. 一般検査室
主に尿、糞便、穿刺液(胸水・腹水・関節液など)を検査します。また、各種ウイルスなどの感染症簡易検査も実施しています。
尿定性、尿沈渣
尿定性検査によって蛋白、糖、潜血などの反応を調べたり、顕微鏡を使って尿中の細胞成分などの種類や数を検査することで、腎臓や膀胱などの異常を早期に知ることが出来ます。
便潜血
便潜血検査は大腸がんのスクリーニング(ふるいわけ)検査として行われています。
尿素呼気試験(予約検査)
胃の中のピロリ菌の有無を調べます。検査の所要時間は25~30分くらいです。
原則として空腹時に検査を実施しますので、昼食をとらないでお越し下さい。
感染症迅速簡易検査
A群溶連菌、ノロウイルス、クロストリジウムなどによる感染の有無を簡易キットにより、迅速に検査します。
4. 生理検査室(生理機能検査)
心電図
不整脈や心臓の肥大・拡張、心筋障害(心筋梗塞や狭心症)などが分かります。
負荷心電図
心臓に一定の運動を負荷し、心電図を記録して心筋に虚血がないかどうかを判定する検査です。2階段負荷心電図法とエルゴメーター法があります。また、小児など階段昇降が困難な患者さんには、医師が指示した回数のジャンプをしてもらい、心臓に負荷をかける方法も行っています。
- マスターの2階段法
- 2段の階段を決められた時間、決められた回数を往復して負荷をかけます。運動後に心電図を記録し、時間を追って心電図を記録していきます。
- エルゴメーター法(予約検査)
- 固定式自転車でペダルの重さを段階的に増やし心電図や血圧、自覚症状を確認しながら検査を進めます。
通常、目標心拍数に達すれば終了となりますが、立ち会う医師の判断でその前に運動を中止する場合があります。
<検査当日のご注意>
- タオルを持参し、運動しやすい服装で来院してください。
- 検査2時間前からの食事、喫煙は控えてください。
(運動に差し支えない程度の飲食は問題ありません) - 検査には運動前後の準備時間を含めて1時間前後かかります。
心肺運動負荷試験(予約検査)
心電図、血圧計、呼気ガス分析装置を用いて検査用の自転車を漕ぐ検査です。
これにより、心不全の程度を評価したり、運動療法を行う上で、心臓の負担がかからない程度の運動の強さを知ることが出来ます。
ホルター心電図
携帯型心電計を装着して、日常生活中の不整脈や心電図変化を解析する検査です。24時間後の取り外しとなりますので、検査の翌日、取り外しのため来院して頂きます。
呼吸機能検査
大きく息を吸ったり吐いたりして肺の機能を評価する検査です。
血圧脈波(ABI検査)
動脈硬化の度合いを調べます。血管の硬さや血管のつまり具合などから血管年齢を推定できます。
脳波検査(予約検査)
けいれんや意識障害がみられる時、症状には出ない軽い意識障害をみつけようとする時、てんかんが疑われる時などに脳波検査が行われ、脳腫瘍の診断にも有用です。
シールドルームという電気的に隔離された部屋で実施します。ベッドに仰向けに寝て、頭に十数個の電極をペースト(糊)で取り付けます。安静にしていて、目を開いたとき、目を閉じたとき、光の刺激を与えたとき、深呼吸をしたときなどの脳波を調べます。また、睡眠中の脳波を測定することもあります。
- 検査時間は1時間程度です。
- 頭髪は洗髪して、整髪料などは付けずに来院してください。
- 痛みのない検査ですので、安心して受けてください。
神経伝導速度検(予約検査)
手の神経に電気刺激を与え、それに対する反応から神経の伝わり方を見る検査です。この検査で手のしびれ、痛み、筋力低下の原因が神経にあるかを調べます。
電気刺激による一時的な痛み、不快感がありますが、体への影響はありません。
CO濃度検査(禁煙外来)
タバコの煙の中にある有害物質の1つである一酸化炭素が、吐息中にどれだけ含まれているかを検査し、体内にどれだけタバコの煙を取り込んでいるかを調べます。
呼気NO検査
喘息の診断や“気道の炎症状態”を評価する検査です。
PSG(終夜睡眠ポリグラフィー)検査(予約検査)
PSG検査は、睡眠の状態を全体的に調べる検査になるため、睡眠中の呼吸の動きはもちろん、脳波や心電図、胸部の動き、血中の酸素量などの検査端子を体に取り付けて一晩寝て頂きます。痛みはありません。
外来で問診や簡単な検査をし、睡眠時無呼吸症候群の疑われる方には、日程をご相談し一晩入院してこの検査を受けて頂きます。