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#91:消費税と社会保障

この文章は2026年4月に発行された病院広報誌81号に書いた文章です。

消費税と社会保障

院長 加藤 奨一

2月8日の衆議院選挙では、ほとんどの政党が消費税の減税や廃止を公約に掲げていました。
「本当に社会保障の財源は大丈夫か」と不安の声もあるはずなのに、こうしたことはマスコミでもあまり大きく取り上げられませんでした。消費税は年金・医療・介護など社会保障サービスの重要な財源です。

税収が安定していることで、こうした社会保障サービスが支えられています。
税が減ると、その分だけ財源が減少するため、制度維持のためには別の財源確保が必要です。共産党・れいわ新選組・参政党・社会民主党は、消費税の大幅引き下げや廃止の代わりに、大企業・富裕層への課税強化での財源確保を主張していました。
それも一案だと思います。赤字国債がこれ以上膨らむと、日本の国際的評価が下がり、円安が進み、輸入品の価格が上がり、最悪な場合は物価上昇がさらに進んだり、金利が上がったりして、国民の生活がさらに苦しくなるという、負のスパイラルもあり得ます。

確かに、消費税を下げると、買い物やサービス利用の際の負担が減るため、特に低・中所得層には実感として負担軽減の効果があります。物価高が続く中、家計支出の余裕が生まれるという点で支持する意見が多いと思います。しかし、繰り返しますが、消費税は安定した社会保障サービスの財源で、これが不足すると、社会保障サービスが縮減したり、あるいは、社会保障サービスを受けるための自己負担が増える可能性も考えなければなりません。

私のように病院経営を任されている者としては、いつもの「医療費抑制策」(=医療機関の収入抑制策)、「医療サービスの財源が減少するので、医療機関への支払いを抑制しよう」という政策がまた強化されるのではないか、と大きな危惧を抱きます。医療の「売り値」である「診療報酬」は国が決めており、2年ごとにしか改定されません。
2年前から収入は同じだということです。支出が増えても、一般業種のように価格を上げることができませんので、日本がインフレ基調になった2,3年前から、医療機関が購入するさまざまな物品が値上がり、また、賃上げも重なり、収益(=収入一支出)は減少を続け、昨年の調査では、7割くらいの病院が赤字になりました。

消費税の減税・廃止は、家計の負担軽減という点ではとても魅力的ですが、国民に絶対必要なはずの医療サービスを提供している医療機関をどう支えるかもよく考えていただきたいと切に願います。

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