#90:病院の緊急経営調在結果
この文章は2026年1月に発行された病院広報誌80号に書いた文章です。
病院の緊急経営調在結果
院長 加藤 奨一
昨年10月22日に日本医師会から発表された「令和7年 病院の緊急経営調査一令和5年度、6年度実態報告ー」を紹介します。
主な調査結果は以下の通りです。
- 全体の収支について、医業利益率は令和5年度のマイナス5.2%から、令和6年度はマイナス5.4%に更に悪化。経常利益率は令和5年度のマイナス0.6%から、令和6年度はマイナス2.6%に大幅に悪化。施設当たりの経常利益赤字額は約4倍超となり、1億640万円の赤字だった。
- 医業利益の赤字割合は66.7%から69.5%に増え、経常利益の赤字割合は48.8%から62.2%に大幅に増加した。
- 開設主体別では、いずれの開設主体の病院も医業利益率はマイナスだった。令和6年度の医業利益の赤字割合は国立92.5%、公 立96.6%だった。医療法人も63.9%で公私共に極めて厳しい状況にある。経常利益率は対前年度で大きく悪化し、医療法人は56.4%が赤字だった。
- 物価高騰・人件費上昇の影響を大きく受け、全体の医業収益は対前年で2.6%増、医業費用は2.8%増で、増収減益だった。医療法人は医業収益と医業費用の伸びが同率だった。
- 医業費用について、費目別の伸び率は対前年で、給与費は2.5%増、材料費は4.8%増、委託費は3.9%増、経費は4.1%増だった。
- 国公立を除く病院類型別では、療養型病院の令和5年度の経常利益率は3.0%だったが、一般病院、精神科病院と同様に、令和6年度は1.6%に低下。精神科病院は令和6年度に経常利益率がマイナスに転じ、赤字割合は56.8%だった。
- 病床規模別では、小規模、大規模など病床規模に関わらず、経常利益率が1.5~3ポイント低下し、経常利益の赤字割合はいずれも大きく悪化した。
- 医療人材確保のため、病院が人材紹介会社に支払っている人材紹介手数料は、病院の100床当たりの手数料が令和5年度から6年度に掛けて7.9%増加。特に医療法人での負担は大きく、令和6年度は100床当たり平均843.5万円だった。
以上です。どういう感想を持たれますか?
このままだと、日本の7割以上の病院が倒産し、診療を行えなくなります。

