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#81:電子カルテ

この文章は2023年10月に発行された病院広報誌71号に書いた文章です。

電子カルテ

院長 加藤 奨一

「電子カルテ」が世に出てからどのくらい経つでしょうか。インターネットで調べたところ、意外と最近で、1999年だったようです。当院が電子カルテの自院開発を始めた年と同じです。

電子カルテの普及率(令和2年)は、一般病院全体で57.2%、400床以上91.2%、200~399床74.8%、200床未満48.8%、一般診療所49.9%です。今後もさらに普及率が上がっていくと思います。

1999年当時は医療従事者にもまだキーボード・アレルギーの者も多く、電子カルテ導入は反対されました。この20数年でPCに対するアレルギーは少なくなったと思います。

電子カルテには従来の紙カルテと比べて長所がたくさんありますが、反対に最大の短所は、医師が外来診療の時にキーボード操作に忙しく、ディスプレイばかりを見て、患者さんの顔を見ることが少なくなったことでしょう。「もっと私の顔を見て診察して欲しい」と感じている患者さんもいるのではないでしょうか。

当院は1998年ごろから電子カルテの導入を考えていましたが、いろいろな大手メーカー製品の使い勝手がまだまだ悪かったため、「モイス研究所株式会社」という小さな会社と電子カルテを共同開発することになりました。最初は処方箋発行と外来診察予約の2つの機能のみで、その後、機能を少しずつ開発・追加していき、2006年2月の新病院開院と同時に、外来診療の紙カルテは廃止し、電子カルテに移行しました。ただ、すべてペーパーレスには出来ず、印刷物で補いながらのスタートでした。次は、入院医療に関するさまざまな機能を開発・追加してきました。約24年間開発してきましたが、電子力ルテ部門が「BCI株式会社」に分社化されたこの会社の開発陣のマンパワーは大手メーカーと比べて圧倒的に少なく、開発が思ったようなスピードで進まず、補助的に使用している印刷物も減らず、かえって増えるくらいで、自院開発をこのまま続けていいのか、と疑問を抱くようになりました。

一方、大手メーカーは何百人もいるエンジニアたちが開発を進めますので、この20数年でかなり使いやすい形になっていました。そこで、電子カルテの自院開発はもう諦めようと決心しました。昨年から1年以上の準備期間を経て、今年5月から、「ソフトウエアサービス株式会社」製電子カルテでの診療を開始しました。これを契機に、診療の質や職員の業務効率が上がることを期待しています。

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