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#79:新型コロナウイルス感染症、5類へ

この文章は2023年4月に発行された病院広報誌69号に書いた文章です。

新型コロナウイルス感染症、5類へ

院長 加藤 奨一

この原稿を書いている3月11日は12年前東日本大震災が起こった日です。テレビでは震災関係の番組をたくさん放映していました。また、ワールド・ベースボール・クラシック予選における第3戦の日本対チェコ共和国戦が行われて、侍ジャパンは予選リーグで3連勝しました。

そうした中、日本の新型コロナウイルス感染症への対応策が大きく変わっていきます。3月13日からは、マスク着用が義務ではなくなります。また、5月8日から新型コロナウイルス感染症が感染症法上の2類相当から5類になることが決まっています。

医療提供体制も変わります。現在、日本でコロナ病床を持っている病院は約3,000病院ですが、約8,200ある日本のすべての病院で来年4月までにコロナ患者の入院が可能となるように政府は動いています。発熱外来は現在約4万2,000施設で行っていますが、来年4月までに約6万4,000施設に増やす目標です。
また、今までコロナ診療の医療費は全額公費負担でしたが、5類になってからは通常の保険診療の自己負担を求められます。ただし、9月までは、入院費に関しては月額2万円の補助が支給され、新型コロナウイルス治療薬に関しては全額公費負担となります。

10月以降の医療提供体制については今後の感染状況を見て、来年4月までに段階的に公費負担を減らし、最終的には公費負担ゼロを目指します。病院に対するコロナ診療に関係した助成金・補助金も9月までは半額にし、来年4月にはなくす方向です。
最近の重症化率や死亡率からは適切な判断だと思いますが、あとは国民やマスコミの意識改革も必要です。
「〇〇クリニック、〇〇病院でコロナの集団感染だってよ!」などという、マイナス評価を医療機関に対してしてはいけません。医療機関によっては、施設の構造上、感染症患者とそうでない他の疾患患者の診療エリアを完全に分離できないところも多いと思います。そうした医療機関では、どんなに院内感染対策をしても限界があり、院内感染は起こり得ます。

“日本のすべての医療機関で新型コロナウイルス感染症診療を行う”と政府が決めたのですから、政府は国民にそうし た啓蒙もしなければいけません。また、マスコミにも国民にもそうしたことを受け入れる寛容さが求められます。

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