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#78:新型コロナウイルス感染症3年

この文章は2023年1月に発行された病院広報誌68号に書いた文章です。

新型コロナウイルス感染症3年

院長 加藤 奨一

この原稿を書いている2022年11月下旬、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)は「第8波」に入っています。これからどのくらいのピークに向かっていくのか予想もつきません。

2019年12月中国の武漢市の海鮮市場で発生し、2020年1月16日に日本でも最初の発生が確認された新型コロナも、もうすぐ丸3年が経とうとしています。日本人が最も衝撃を受けたのは志村けんさんが死亡したニュースでした。これを契機に「よく分からない、とても怖い新規感染症」という印象が日本国民すべてに浸透したと思います。

初期の頃の日本政府の対応は「後手後手」の印象が強く、菅政権が倒れたのも、こうした国民の評価が大きな原因だったと思います。その後、ウイルスは変異を繰り返し、感染力は強くなるものの、生物学的悪性度は弱くなり、最近の変異株では初期の頃のような重症肺炎はきわめて稀で、基礎疾患を持った高齢者が亡くなる原因は、基礎疾患の増悪によるものが主で、新型コロナそのものの重症化による死亡はほとんどなくなりました。

こうしたウイルスの変遷に対して、欧米諸国はもう1年以上前から、新型コロナは季節性インフルエンザや通常の風邪と同じ扱いになっています。テレビの映像を見ても、マスクをしている人は全くいないし、大規模なイベントも超満員状態で開催されており、街も人が溢れています。

一方、日本はどうでしょう。政府は、行動制限を緩め、海外からの渡航客受け入れも拡大させていますが、日本国民は今もみなマスクを着用しています。マスクなしで外を歩いていると、周りからの非難の視線を感じてしまうのは私だけではないと思います。日本国民特有の「同調圧力」はもの凄いものを感じます。もともと新型コロナ拡大前でも、冬などは日本人の多くはマスクをしていましたので、今後もこの傾向は続くのだろうと思います。

感染症法上の取り扱いも盛んに議論されていますが、なかなか進みません。現在の2類から5類に変更した方がよいという意見も多いのですが、従来通りの5類になることのデメリットも多々ありますので、新型コロナを特別に扱う“特別5類”などを作ったらどうでしょう。

さあ、今年は新型コロナがどうなるのでしょうか。そろそろ終息に向かってもらいたいものです。

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