#06:トヨタに学んでみる
この文章は、平成 14 年6月に行われた第3回業務改善発表大会の抄録集の巻頭言に書いたものです。
私はこの大会で自らトヨタ方式の紹介をしました。
トヨタに学んでみる
~第3回業務改善発表大会を終えて~
業務改善発表大会も今年で3回目を迎えました。
毎年発表を聞いていて、自分が全く知らなかった、様々な工夫を各部署が自主的に行っていることにいつも驚きを感じています。
自分自身も、昨年のリニューアル計画についての発表に続き、今年は「トヨタに学んでみる」という発表をしてみました。
時間もなく、駆け足で多数のスライドを使ったので、聞いていて未消化の方も多かっただろうと思いますが、僕の話に共感を抱いてくれた方が何人かいれば幸いです。
この話のネタは、日本経済新聞社から出版されている「トヨタ 最強の経営~なぜトヨタは変わり続けるのか~」という本から取りました。4年前ホノルルにアメリカの医療システムの勉強に行ったときに知り合った名古屋の病院の先生が、僕の院長就任のお祝いにと贈呈してくれた本です。
経営学の本かなと思って読み出しましたが、枝葉末節的な経営手法の論述ではなく、企業や組織というものを考える上での人間観からはじまる哲学的な内容で、引き込まれるように一気に最後まで読んでしまいました。
その中で感銘を受け、今回の発表で皆さんに伝えたかったのは、友愛記念病院という組織も「進化し続ける組織」になりたいということ、「変化」することに臆病にならず、失敗を恐れず、「よくしよう」といつも物事を変えていくことに全職員が前向きになること、よくしたいと思ったら「まずはやってみよう」と物事を変えてみる人がたくさんいる組織になること、立場や地位にこだわらず「いいもの」はいい、「悪いもの」は悪い、と皆が言えるような組織風土を持つこと、個々の「人」が医療人、社会人として育っていくことに重きを置く「人を大切にする」組織になること、上からの押しつけではなく、「いい医療」をしたいという動機を職員全員が共有でき、創意工夫、改善、変革を個々の職員が牽引していくような組織になること、その積み重ねによっていつの日か日本一、世界一の「いい病院」になりたいということです。
「今日の業績」を上げることはもちろん大切ですが、それと併せて「明日の準備」を全職員が毎日継続して行っていくような、そんな病院になることを祈っています。
(平成 14 年 7 月発行の第3回業務改善発表大会の抄録集の巻頭言)