インフルエンザについて
インフルエンザには季節性インフルエンザ(A,B)、新型ブタインフルエンザ、強毒性鳥インフルエンザ等があります。鳥インフルエンザは今のところ人から人にうつることはないと考えられています。
インフルエンザにはヘマアグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という2種類のたんぱく質があり、インフルエンザA型ではHAが16種類、NAが9種類あります。これによりインフルエンザA型は144種類に分かれます。
例えば、H1N1はAソ連型、H3N2はA香港型といわれ、H5N1は鳥インフルエンザといわれます。
インフルエンザの確定診断を100%行うには遺伝子の検査(PCR検査)が必要です。
この検査を行うと新型ブタインフルエンザ、季節性インフルエンザなどの鑑別診断できます。
しかし、この検査を行っている場所は茨城県内では県衛生研究所(水戸)の1箇所のみで、検査の可能件数は必要数のほんのわずかしかできません。
<インフルエンザ簡易検査>はどこの病院でもできる手軽な検査です。
しかし、実際のインフルエンザの患者さんでも陰性になる事があり、その陽性率は約70から80%といわれています。しかも、このインフルエンザ簡易検査は発熱後12時間経過していない場合には正確な検査結果が得られないことがあります。この頃、高感度インフルエンザ検査法が開発され、当院でもこの検査を採用していますが、発熱後5-8時間たっていなければ検査はできません。
当院の患者さんでも発熱後12―24時間では簡易検査が陰性で、48時間後に陽性になった経験があります。
<インフルエンザの治療>
インフルエンザ等のウイルス感染はほとんどの患者さんが自然によくなる病気です。安静、水分補給などが重要です。しかし、一部の患者さんが重症化し、命を落とす事があるのも事実です。
<インフルエンザ治療薬>
タミフル内服薬、リレンザ吸入薬、イナビル吸入薬があります。これらの薬はインフルエンザウイルスの増殖を妨げ、ウイルスの絶対量を減少させることにより、症状(主に発熱期間の短縮)を軽くする働きがあります。
イナビル吸入薬は比較的新しい薬です。
確実に吸入ができるお子さんはイナビル吸入は使用が1日で済むので便利ですが、少ない回数のため上手く吸入できないと効果が得られません。
タミフル内服薬、リレンザ吸入薬は5日間使用します。
小児科では9歳までがタミフル内服薬で、10歳以上がリレンザ吸入薬となります。
インフルエンザの患者さんの異常行動についてはタミフルとの関係が報道された事がありますが、現在も因果関係は証明されておらず、インフルエンザ自体の病気により起こっていると考えられています。
当院の患者さんでは現在までタミフルで問題となった患者さんはおりません。
これらの薬の使用に関しては家族の希望が最も優先されます。
<解熱剤>
インフルエンザウイルス等のウイルスや病原菌が体内に入った時には、それをやっつけるために身体が熱を発生させます。熱が高い方がウイルスや細菌の発育が妨害でき、ウイルスをやっつけるための体の免疫機能が良く発揮されるからです。そのため、当院では解熱剤を処方しない方針です。ただし、頭痛や身体の痛みが我慢できない時、消耗が激しいが入院ができないなどの時にはインフルエンザにも比較的安全といわれているアセトアミノフェン製剤を処方する事があります。
<インフルエンザ感染防御>
インフルエンザは飛沫感染、接触感染が主な感染経路です。他の家族にうつさないためには患者自身がマスクをかけていることが最も重要です。インフルエンザウイルスは気温が低く、乾燥している場所では長期間生存します。したがって、自宅では暖かくし、湿度(60%以上を目標)を高くすることが望まれます。
家族は石鹸を使った手洗いが大切です。こまめに手を洗いましょう。
うがいについては現在、インフルエンザ感染におけるその効果は疑問視されています。
<通学、登園について>
インフルエンザは感染症法で指定された感染症ですので、通学、登園に関しては法律で規制されています。通学、登園が可能なのは熱が出始めてから5日間が過ぎており、なおかつ小学生以上は解熱後48時間過ぎていること、小学生未満は72時間過ぎていることが必要です。
医師の証明が必要な方は上記の条件がそろった時、体温表・証明書を持参し、受診してください。
友愛記念病院小児科